上杉謙信公が軍神として崇めた毘沙門天の「毘」の一字を軍旗として掲げた「刀八毘沙門の旗」

上杉時代館の「直江兼続公」講座

上杉軍団総攻撃の旗印「懸かり乱れの龍の旗」

兼続公さ愛さ愛べ!

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兼続公の生涯

 

◆ 済 世 救 方    聖 済 総 録 ◆

 

兼続公の米沢

 

方(せいせいきゅうほう)

 

米沢ガイド

 

明治41年(1908年)に刊行された伊佐早謙氏の「稿本清覧録」には、

 

 

米沢のお祭り

 

天正20年(1592年)、直江兼続は豊臣秀吉の命で朝鮮出兵(文禄の役)した際に、

 

 

米沢の史跡

 

肥前名護屋(佐賀県東松浦郡鎮西町)で「済世救方300巻」を書写した。写本はその後

 

 

ゆかりの地探訪

幕府に献上され、明治4年に文部省から徴収されるまで副本が藩校興譲館に所蔵されていたと

 

記述されている。しかしながらこの記述は誤りである。

 

 

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 済世救方なる書は、中国、朝鮮、日本何れの国にも刊行の記録が無く発見もされていない。

 

 

また、幕府、藩校興譲館、文部省の何れにも所蔵の記録がない。300巻にも及ぶ大書が歴史上

これほどまで記録がないということはあり得ない話。つまり済世救方は存在しない本である。

 

録(せいせいそうろく)

 

 

一方、元文5年(1739年)に書かれた米沢藩士 山田近房の「米沢雑事記」には、

 

 

直江兼続が「聖済総録200巻」を書写したとの記述が見られる。聖済総録は中国の北宋で刊行され

日本にも伝わっている。また藩校興譲館の歴代図書目録には、明治4年に文部省に徴収されるまで

所蔵記録がある他、文部省側の東京書籍館(現在の国会図書館)にも公文書として記録されている。

 

幕府に献上された話は、米沢藩士 保科正之が漢籍を幕府に差し出したとの記録は確かにあるが、

 

 

 

その目録の中に聖済総録の文字は見当たらず献上の話も誤りである。

 

 

伊佐早謙氏の根拠について、現存の史料を読み解く限りそれを裏付ける物は発見されていない。

 

 

 

 

   宋 版 史 記 (そうばんしき) ・文 鑑 (もんかがみ) について ◆

記(そうばんしき)

文禄2年(1593年)、直江兼続が朝鮮から持ち帰ったとされて来た「国宝 宋版史記」。

 

しかしその説は、どう考えてもあり得ない話である。

 直江兼続は確かにこの時多くの漢籍を朝鮮から持ち帰っていることは史実だが、

国立歴史民族博物館に所蔵されている「国宝 宋版史記」には、これよりも前の時代に存命した

 

京都五山の著名な高僧の書き込みがなされているのである。

この事実について無理やり仮説を唱えようとするならば、朝鮮から日本(京都五山)に伝わった

史記が、何らかの事情で朝鮮に戻り、それを直江兼続が再び日本に持ち帰ったとなるのであろうが、

どう考えても海を3度も渡ることなどあり得ない。

 

それよりも直江兼続が以前から京都五山の僧達と交流があったことを考えれば、京都五山の

 

僧から贈られたと判断するのがむしろ自然でありそれ以外は考えにくい。直江兼続が宋版史記を

 

手にした経緯を示す史料は無く断言こそ出来ないが、京都五山の僧 南化玄興と交流を持っていた

 

ある時期に入手したものと思われる。

 

文 鑑(もんかがみ)

慶長4年(1599年)直江兼続が京都五山の僧 南化玄興から贈られたとされて来た「文鑑」。

 

その文鑑の筆跡を鑑定した結果、直江兼続自身の筆跡であることが判明した。

 

つまり他の書においても見られるように直江兼続の文鑑は贈られた物ではなく書写された物である。

 

因みに文鑑とは、漢詩を解読する際の辞書で、直江兼続の文鑑はハガキサイズの大きさである。

大きさからして直江兼続はこの文鑑を常に持ち歩いていたと考えられる。

 

 

新潟大学  岩本篤志先生 講演   平成19年11月14日()、伝国の杜(山形県米沢市)

 

 

 

 

 

 

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