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県政報告(平成26年4月版)

平成25年度議会運営委員長としての活動を振り返って

議会運営委員会は、2つの交渉会派系12名の委員で構成され、議院運営委員長は議会運営の正に要であります。議会運営委員会開催の前には会派協議会を開き、5名以上で構成される議会内の交渉会派の代表と議会運営委員長が、スムーズな議会運営のために事前の協議を行います。通常、他の議員より1時間半ほど早く登庁し準備を行います。

議会運営委員会の審議場景。委員数は12名。他に正副議長、委員外の議員、議会事務局、総務部長をはじめ執行部、議会連絡員など総勢50名程度が出席。公開審議のため、マスコミも入る。

また、議会全体として緊急な対応が必要な事案には、議会運営委員会において審議を行い、本会議の採択を経て、関係機関に対して要望の提出などを行います。ほとんどの場合、要望書を携え要望先に出向くのも議会運営委員長の重要な職務です。今年度は、「環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉における聖域の確保を求める意見書」を農林水産省に提出したことや、「陸羽西線古口駅〜清川駅間の早期復旧について」の要望書をJR東日本に提出するといった緊急的な対応を行いました。また議会改革推進委員会より提出された改革案の検証のため、山梨・静岡の両県議会の視察調査を実施し、本県議会との比較検討を行い、今後の議会改革に向けて提言を行いました。

議院運営委員会の発議による「環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉における聖域の確保を求める意見書」を国関係機関に提出(10月10日)。当日政府側の対応者は横山信一農林水産大臣政務官(公明党)。同行者は吉村和武副委員長と議会政策調査室長補佐。

議会運営の中心として活動した1年間は、過去15年の活動の中でも大変充実したものでした。議会運営委員長は、議事進行上の緊急な事態に対応する必要があることから、本会議における一般質問や予算特別委員会の質問に立たないのが通例であり、本年度は質問を控えたところです。

平成26年度2月定例会

大型の経済対策は継続

去る2月20日より3月19日まで、2月定例会が開催され、国の経済対策による約320億円の「地域活性化・雇用創出関連予算」を含む25年度補正予算、及び6010億円の新年度当初予算を可決し閉会しました。

平成二十六年度の当初予算は、前年度比で75億円余り減少いたしました。社会資本の形成に要する投資的経費も90億円ほど減少いたしましたが、国の経済対策と合わせたいわゆる15か月予算として見れば、平成26年度に執行される公共事業費は、996億円を上回り、全体として十分に確保される見込みです。

その一方で相次ぐ入札不調が発生。

現政府の積極的経済対策により、公共事業等の予算は確保されているものの、急激な公共事業の拡大や、東日本大震災対応の公共事業の出現により、人手、機械、資材の不足や労務や資材単価の上昇などにより事業消化に必要な生産手段が確保できず、入札不調が大幅に上昇しています。(事業種別により10%〜30%程度に及ぶ)

長期的展望に立った計画的事業執行が喫緊の課題

これらの要因は、財政の引き締めからの長年にわたる公共事業抑制の悪影響であると言えます。今後は、若年層の雇用の安定的確保や景気浮揚のためにも計画的かつ安定的な公共投資が行われる必要があります。

商工労働観光常任委員会に所属

自民党会派においては、各議員が所属する委員会の決定は、幹事長に一任されております。情勢によって適材適所、また全体的バランスを考慮し配置がきめられます。本年度は、10年ぶりに商工労働観光常任委員会に所属することになりました。基本的に建設業等を除く第2次第3次産業を所管するのがこの委員会です。

つまり山形県の主要産業である製造業や、県内事業所の90%以上を占める中小企業、また観光関連産業の振興対策に関わることになります。今年は、6月半ばから3か月間、デスティネーションキャンペーンが展開されます。これらの成功を期す意味においても積極的な施策展開を働きかけていきます。

再生可能エネルギー導入促進対策特別委員会に所属

本県議会においては、3つの特別委員会が常設されており、議長、副議長、監査委員、議会運営委員を除く28名がそれぞれの委員会に所属します。私は、過去3年間監査委員や議会運営委員のため特別委員会には所属しませんでした。県や国の進めるエネルギー政策の適切な推進を図るため多面的に調査提言を行ってまいります。

農林水産常任委員会の活動から

県の積極的農業振興策に一定の評価

山形県の農業は、平成24年度農業産出額は2352億円で、全国12位です。過去最高の産出額は、昭和60年の3358億円で、最低は、平成22年の1986億円ですが、23年、24年と増加傾向にあります。これは、県の積極的な農業振興策が効果を上げていると評価できます。

県の農業産出額は、米の生産量と価格に大きく影響を受けてきました。昭和60年は、米価が最も高値の時期ですし、平成22年は、東日本大震災前であり、米の需給が弛んだ時期で価格が大きく低迷しました。農業は、統計的には産出額としてとらえるのは比較的容易ですが、農業生産者は、求めるものは農業所得(農家所得)です。前政権時代の戸別補償制度は、農家経済には一時的安定をもたらしました。

この度の農政改革は、米の直接所得補償の半減や4年後の廃止、政府主導による転作の廃止などが盛り込まれており、農家所得の減少に直接影響し、日本型直接支払いのプラス分を差し引いても米生産地帯の地域所得はマイナスに作用します。

「米政策の見直しに関する意見書」提出

このことに深く憂慮し十二月定例会において、「米の直接支払交付金の十年程度の継続」「日本型直接支払制度が農業者の所得確保に直接つながること」「大規模農家と小規模農家等が相互に連携し経営の発展を図りうる構造政策の確立」などを内容とする意見書を国に提出いたしました。この意見書がどの程度の効力を発揮するのか定かではありませんが、財界的発想の農政の急展開に対し、賛否議論が分かれる中、農家の立場を強く主張して採択させるに至りました。

(各意見書の詳細については、山形県議会のホームページに掲載しております。)

置賜地域の幹線道路網の整備促進について

4期目に入り、3年前から置賜地区選出県議団の会長を務めることになりましたが、置賜県議団(自民党会派)として最も力を注いできた活動が標記の課題です。具体的には、@東北中央自動車道・福島〜米沢北間A国道113号、新潟山形南部連絡道路B国道287号米沢~川西〜長井〜白鷹間の整備促進です。

自民党置賜県議団が精力的要望活動

県議団の活動としては、10月9日に国土交通省内の関係部署に赴き、3路線を中心とした道路整備の促進を強く働きかけました。昨年の2月から3月にかけても国土交通省、東北地方整備局、山形河川国道事務所に整備促進要望を行いました。現在の国土交通省道路局長である徳山日出男氏は、昨年度まで東北地方整備局長の職にあった方であり、継続した要望に大変理解を示していただきました。

10月9日国土交通省道路局長徳山日出男氏への要望場景。他に技監、総合政策局長、関係課長等10数箇所に要望を行う。

この3年間の取り組みを契機に置賜地区における道路整備要望運動が加速化されてきたと認識しております。昨年の11月15日には、置賜地域挙げての道路整備促進大会が米沢市で開催されました。

1月15日の置賜地区道路整備促進大会。県議団は来賓として出席。参加者は、県、各自治体、商工業界、建設業界、地域住民等、合わせて約600名。地域住民の意見陳述などもあり、会場は熱気に包まれた。

それに先立ち10月14日に小国町において新潟山形南部連絡道路の整備促進大会が開かれております。

新栗子トンネルが貫通〜大きな一歩

去る3月22日には、新栗子トンネルの貫通式が執り行われ、山形側と福島側を結ばれました。平成29年度の供用開始に向けて順調に工事が進んでおります。

3月22日、新栗子トンネル貫通式での写真。奥に見えるのが貫通地点。当日は、地元住民はもとより、両県の国会議員、知事、地元ブロック選出県議、自治体首長、地元市議など多数の出席者。坑口から約5キロメートルの貫通地点付近で3時間近くに及ぶ祝賀会にも臨んだ。坑内は、さほど寒くなく、コートがなくとも過ごせるくらい。

小国道路(小国〜関川間約12キロ)調査区間に格上げ

南陽川西間の梨郷道路は、順調に事業が進められているほか、3月28日には、標記の区間が、調査区間に格上げされました。関係各機関の運動の成果であり、今後一層の事業推進が望まれます。

国道287号に約10億円の予算

県管理の一般国道については、置賜県議団として整備促進に力を注いでいる中で、平成二十六年度の事業については、米沢北バイパス、川西バイパス、長井南バイパス合わせて約10億円の予算が配分される見通しです。(内50%以上が川西バイパス分)

県内外の視察の記録

県内視察の状況(置賜・村山)

川西町こうずく地区の圃場整備状況を視察、圃場の灌漑・排水のシステムや畑地としての活用状況を聴取する。川西町には、高山、宮地など数か所の事業が展開中、その他にも事業希望箇所が目白押しの状況。手を挙げるのは今のうちか・・・

面的整備がなされた高山地区の圃場、生産効率は飛躍的に向上する。

園芸試験場を視察、さくらんぼの栽培試験の状況を聴取。栽培地が全国に広がりを見せている中で、本家の実力をさらに高めてほしい。

JA全農山形系列の且R形食品を視察。地元産農産物の利用状況や経営状況について聴取。生産者と企業の連携による6次産業化の中心的企業になることが期待される。原料となる野菜果樹等の生産農家の所得向上に大いに貢献してほしい。テーブル上には、おいしい山形をになう商品が多数陳列された。

災害視察の状況(白鷹・南陽)

7月18日からの大雨による被災状況を視察、白鷹町十王地内の林道損壊現場にて置賜総合支庁西庁舎の担当者から説明を聴取。当日は早朝より夕方までかけて県内4ブロックを駆け足で一回り。以後の常任委員会にて対応策を国、県当局に強く要望した。

@ 南陽市吉野地内、吉野川上流部の被災地において流木等の撤去に協力する高校生ボランティアの活動状景。「大勢の若い力に感謝、感謝、感謝」

県内視察の状況(最上・庄内)

農事組合法人松ヶ岡農場を視察。歴史ある松ヶ岡本陣の一室にて農場の歩みや現在の経営状況などを聴取。観光施設としての価値も高く、農場で生産した野菜果物は、独自のブランドで販売している。

舟形町のアグリテック(沖の原機械利用組合を視察。無人ヘリによる防除作業を広範囲に受託している。作業対象地が分散しているため効率よく防除できないのが悩みとのこと。

県外視察のの状況(北海道)

北海道旭川市農業センターを視察。北海道は、高橋はるみ知事により、「米チェン、麦チェン」と呼ばれる農業政策を展開中である。これは、内地米を道内産に、外国産小麦を道内産に変えていく言わば道内自給体制(地産地消)を強化しようというものである。「ゆめぴりか」や「ななつぼし」は、道内のみならず全国的に販売シェアを拡大している。旭川地方は、田植え後好天に恵まれ、稲の生育がすこぶる順調で、当地を訪れた7月24日には、稲穂がきれいに出揃っていた。正につや姫の強力なライバルと言える。

道路河川等整備の記録

地域内の主な整備個所

主要地方道高畠川西線中小松新踏切開通日の状況。事業着工は平成15年、途中計画の変更や東日本大震災の勃発などにより完成まで長期間を要した。地域の皆様の念願が叶い、ほっと一段落。

主要地方道高畠川西線、川西高畠の町境を流れる鬼面川、松川に架かる吉島橋、夏目橋付近は、道路部分が沈下し、段差が生じていた。橋梁の長寿命化と合わせ大がかりな修繕工事を行った。写真は、段差解消によりスムーズな通行が可能となった吉島橋。

一般県道大塚米沢線、川西町大塚地内の側溝整備の状況。道路の両側に側溝が整備され、安全な歩行者通行用地を確保するとともに、街並景観も整備された。前線完了までもう一息。

主要地方道高畠川西線犬川地内の幅広路肩設置による歩行者通行用地の確保工事。大塚米沢線との交差点まで1日も早く延伸したい。

高畠町と川西町の町境を流れる鬼面川の護床工工事が完了。河川は、水流の変化により河底も常に変化している。自然環境を害することなく適性な管理を継続して行きたい。

川西町中郡地区時田地内の渋川整備の状況。渋川は水田地帯を流れる一級河川、川底が深く、両岸から土の崩落が続いていた。県単独の自然災害防止対策事業により対応。

県政報告(平成25年4月版)

平成25年度2月定例会

国より県へ超大型の経済対策

去る2月20日より3月19日まで、2月定例会が開催され、国の超大型の経済対策による約340億円の「地域活性化・雇用創出関連予算」を含む24年度補正予算、及び6076億円の新年度当初予算を可決し閉会しました。

平成25年度の当初予算は、4年ぶりに前年度比で減少いたしましたが、社会資本の形成に要する投資的経費は微増し、国の経済対策と合わせたいわゆる15か月予算として見れば、平成25年度に執行される公共事業費は、全体として十分に確保される見込みです。

議会運営委員長に選任される

議会運営委員会は、議会運営の円滑化を図るために設置されております。しかし、議会は、単に円滑に運営すればいいというものではありません。県政の諸課題について、是々非々で活発に議論を交わし、適正な方向を見出し執行せしめるのが議会本来の役割です。

就任直後のあいさつの中で私は、「地方議会の本旨を体し、議会の権能が十分に発揮できるよう運営に努めたい」と述べました。至極当然のことではありますが、議会人としては、この原点を常に踏まえることが求められます。

農林水産常任委員会に所属

本年度は、3年ぶりに農林水産常任委員会に所属することになりました。本県はもとより我が国の農林水産業は、構造的に生産コストが高く、外国との競争力においてきわめて不利な状況下にあります。一方県内の新規就農者は、平成9年には、100人を割り込む(94人)状況でしたが、平成22年度より3年間200人台を維持しており回復傾向にあります。

Uターン就農者が全体の半数以上を占めておりますが、この背景には、厳しい雇用情勢に加え、国・県の就農者確保対策が一定の効果を上げていると言えます。今年度の委員会においては、農業生産基盤や経営体の体質強化策に重点を置き取り組んで行きたいと考えております。

課題にどう取り組むか〜その具体的取組み〜

県政の課題となる十項目

先の県議選において、七つの課題を掲げましたが、それらを補足し整理したのが、次の十項目です。

  • 安全・安心・たすけあいの県づくり
  • 置賜地域内「30分ネットワーク」の構築をはじめとする県管理道路の整備促進
  • 中心市街地の活性化
  • 地域産業の振興
  • 農業を基軸とした地域の再構築
  • 教育環境の重点整備
  • 子育て環境の重点整備
  • 格差社会の是正
  • 新しい公共の推進
  • エネルギー・環境政策の転換

これらの課題に順次取り組んでまいりましたが、その具体的な活動状況をご報告いたします。

置賜管内の国道整備を国土交通省、東北地方整備局へ要望

昨年末の政権交代により、国への自由な要望活動が3年半前の自民党政権当時のように可能になりました。(民主党政権時代は、「コンクリートから人へ」の方針に象徴されるとおり、公共投資を制限し、要望活動も同党を通さなければ受け付けないという方針が貫かれていました。)

自由民主党置賜地区選出県議団は、自民党の政権復帰のこの機会をとらえ、強力な要望活動を展開しております。 今後は、沿線の住民の皆様のご協力をいただくと共に、自治体や民間団体の一体的な取り組みを更に強化することが不可欠であると考えております。

具体的な活動としては、置賜選出の自由民主党県議団として、2月6日に国土交通省へ、2月14日には、山形河川国道事務所へ、3月25日には、東北地方整備局へそれぞれ置賜管内国道の早期整備を図るよう要望活動を行いました。今後さらに関係自治体、民間団体との連携を密にし、沿線の皆様のご理解を得て、基軸となる交通網の早期整備に努力してまいります。

2月6日、国土交通省道路局長 前川秀和氏に置賜管内国道の整備促進の要望書を手交。

前川局長から予想以上の前向きな回答をいただいた。

県管理道路の改良促進について

昨年5月10日に、川西町内の県管理道路の大掛かりな現地踏査を行いました。(参加者は、置賜総合支庁建設部、川西町議会、町当局、沿線の自治会の皆様、まちづくり団体等)この調査により改善すべき個所や整備の在り方を洗い出しました。

平成24年5月、川西町小松中心街の現地踏査状況。

特に川西町中心街の県管理道路の整備については、「まちづくり」そのものの在り方と密接に関連があるため、昨年11月には、まちづくり事業の研修会を開催いたしました。今後、県管理道路の整備と合わせた「まちづくり」事例の調査を行うなど地域の方々と連携し、道路の改良を実施いたします。

歩道整備促進議会での取組み

昨年4月から5月にかけて、通学中の児童の列に心ないドライバーが突っ込み、犠牲者が出るという痛ましい事故が連続して発生しました。これらを受け、文部科学省、国土交通省、警察庁は、各都道府県、市町村と連携し、全国的に通学路の危険個所の点検を実施しました。

その結果を分析し、道路の安全対策が順次講じられております。置賜管内においても、従来歩道設置の要望が多数行われてきました。

平成24年の九月定例会、本年二月定例会の二度にわたり県当局に状況を尋ねるとともに一層の整備促進を強く要望いたしました。

TPP交渉参加反対の請願を採択意見書を国へ提出

山形県農協農政対策本部から提出された標記の請願を昨年度の農林水産常任委員会において採択し、「農林水産業・農山漁村の衰退につながるTPPへの交渉参加に反対する意見書」を、内閣総理大臣、農林水産大臣をはじめ、国の関係機関に提出いたしました。
(意見書内容については、山形県議会ホームページをご覧ください。)

今後どのような展開になるかは全く不透明です。不本意ながら参加せざるを得ないことになれば、地方経済や農業農村はもとより、日本が営々と築いてきた世界に誇るべき「国民皆保険」等の社会制度が大きな打撃を被ることは確実であり、多くの地方自治体、地方議会から大きな懸念が示されております。国益が損なわれることがないよう、厳重に監視することが求められます。

今後とも、「農林水産業・農山漁村の衰退につながるTPPに対して断固反対」の姿勢を堅持してまいります。

「山形県未来農業研究会」を立上げる

自由民主党山形県議会の中で農業分野に軸足を置く5名の議員により標記の勉強会を立ち上げました。目的は、山形県、日本はもとより、国際的な農業情勢を分析・研究し、将来に向けて永続的な日本農業の在り方を究明し、国の政策に反映させることであります。

メンバーは、農業に専従した経験を持ち、置賜、最上、庄内、村山各ブロックからそれぞれ1〜2名で構成されました。

農業所得確保と作業の効率化を図るためにあらゆる対策を

(1)農業基盤整備の促進

行政の役割の中で、最も重要なものが社会資本の整備です。農業における社会資本の整備は、土地改良や水利の確保に関するものです。即ち、農業用ダム、ため池の建設や圃場整備です。24年度の2度にわたる質問の中で、農業基盤の整備(圃場整備)について重点的にその在り方を尋ね、事業推進を促してきました。

管内においては、特に川西町において圃場整備促進の気運が高く、現在進行中のものを含め、次々に事業化が進められてきています。前政権時代に、年間1000億円以上削減され続けてきた国の農林水産業予算を、安倍政権は自民党時代の水準に復活させ、さらに拡充させることを公約に掲げましたが、それは着実に実行されております。この機会をとらえ、大規模経営にとっても、集落営農や定年帰農者にとっても必要な圃場整備を積極的に進めるべきであります。

農作業の軽減・効率化の観点から、昭和40年代に大規模整備を完了した川西東部地区のような地域においても、圃場の大区画化や、排水路の地中化・農道化などの整備を検討してもよい時期に入っていると考えております。事業を進める上で課題となるのは、事業費の10%の負担を義務付けられている市町村持分の軽減策です。

国の制度の改善を強く要望しながら、さらなる事業の推進に取り組んでまいります。

順調に工事が進む川西町こうずく地区の圃場整備。一枚1ha以上の水田がどんどん造成されていく。

(2)低コスト化による所得確保対策と地域営農形態の確立

日本の稲作がコスト高なのは、経営規模が小さいことと物財費が高いことの両面があります。規模拡大の必要性は盛んに指摘されますが、物財費の低減は比較的議論に上りません。今後は、物財費低減のための構造改革が不可欠だと言えます。

現在、「人・農地プラン」(地域農業マスタープラン)の策定が全国的に進められております。しかし、それぞれの地域条件には大きな差があるのが現実でありますから、モデルとなるべき大掛かりなプランを提示して行くことが、指導機関に求められます。地域事情を反映しより柔軟な地域営農形態の確立が、今後の地域農業の方向と密接に関係しますので、これまでの人脈や団体とのつながりをフルに生かし取り組んでまいります。

検証 県の重点施策

有機EL事業化の早期達成を

県は、平成15年度より平成24年度まで10年間にわたり有機EL照明実用化に向けた研究開発事業を支援してきました。その総額は、58億円を上回ります。

また研究の拠点である山形大学工学部では、平成23年に有機エレクトロニクス研究センターを開設し、有機EL照明、有機太陽電池、有機トランジスタの研究がスタートしたのに加え、本年3月には、それらの研究によって得られた技術を生かし製品化する研究を行うため、米沢市のオフィスアルカディアに有機エレクトロニクスイノベーションセンターを開設するなど、着々と有機EL応用製品の開発・普及に向けた研究の成果が現実のものとなりつつあります。

有機EL照明を実際に使用している米沢市内のレストラン「金剛閣」。デザインが独創的でとても素敵。県内各所はもとより全世界に普及する日が待ち遠しい。

「卒原発」に大きな期待

吉村知事の掲げる「卒原発」即ち再生可能エネルギー開発事業に全面的に賛同しています。

東京電力福島第一原発事故は、福島県を中心に放射性物質の拡散により甚大な災禍を与え続けています。これから何十年かかるか計り知れない廃炉化との格闘は気が遠くなりそうな戦いです。子供たちの健康への影響も大いに心配されます。そもそも、地震国・災害列島の日本には馴染まない発電方式だったのではないでしょうか。

山形県の再生可能エネルギーの生産事業ですが、「山形県エネルギー戦略」に基づき20年後の100万kwの開発目標に向け、着実に事業が推進されております。平成25年度の関連予算は、歳出予算42億円+融資枠60億円の102億円です。県営の風力発電所建設事業(企業局・酒田市十里塚)、県営太陽光発電所建設事業(企業局・村山市楯岡)を実施するほか、民間事業者による取り組みに積極的に支援を行います。

そのほか家庭、事業所及び公共施設への導入促進を図りますし、農業用水利施設活用小水力発電導入事業(25年度は、長井市野川地区)を推進する等多面的かつ重層的に再生可能エネルギーの生産事業を行います。従来、北海道をはじめ他県においてもエネルギー戦略を実践に移している県はありますが、震災と原発事故以来の取り組みとしては、全国的にも特筆されるものであります。

再生可能エネルギーの主力となる風力発電施設。写真は遊佐町内の風車群。

今後さらに事業が拡大されるよう努めてまいります。

二月定例会予算特別委員会質疑(主な内容)

1、各地域からの要望に対する県の対応について知事に質問
解説県内各地、各市町村から県に対して地域の実情を訴え、県管理の道路・河川等の改善要望が多数寄せられております。特に町村からの要望は、地域の実情を反映して切実なものがほとんどです。置賜各自治体からは、六〜七月に置賜総合支庁に対して要望会議が行われます。

このたびの質問は、要望の中でも交通安全のための歩道の設置に対する県の対応状況を取り上げ、遅々として進まない歩道整備の促進を働きかけました。

知事からは、県の厳しい財政状況の中で努めて地域の要望に配慮しており、今後ともできる限り要望に応えていきたいという答弁をいただきました。

平成二十五年度においては、15か月予算として見た場合、約45%増の予算が配分されております。管内においては、従来の事業個所に加え、一般県道大塚米沢線高山地内の歩道整備及び主要地方道米沢南陽白鷹線の路肩拡幅による歩道部分整備が新規採択されました。

2月定例会の予算特別委員会での質問場景。当日は約20名の方々に傍聴に来ていただき、終了後感想やご意見をいただいた。

2、国道113号新潟山形南部連絡道路及び国道287号の整備促進について県土整備部長に質問(以下答弁内容抜粋)

国道113号は、平成21年に赤湯バイパス7.2qが全線共用されています。その西側の梨郷バイパスは、実施設計や用地買収が進められております。平成二十五年度は、このたびの経済対策(補正)において15億6500万円の予算が配分され本格的な工事着手がなされ、今後整備が大きく進むものと期待されます。(以下略)

国道287号については、(中略)「米沢北バイパス」は米沢市窪田町から六郷町まで3.4kmは、平成16年度から事業着手され、用地買収と工事が進められています。「川西バイパス」は、川西町中小松から西大塚までの5.7kmを事業区間として、24年度から事業着手し、路線測量と道路詳細設計を実施しており、25年度より用地買収に入ります。「長井南バイパス」は、平成9年度から事業着手し、平成22年度までに、川西町西大塚から、長井市河井までの約5kmを部分供用しており、現在「しらかわ大橋」の上部工を施工しています。(以下略)

解説川西地内の長井南バイパスが供用開始されて以降、米沢〜川西間は、米沢側から事業着手されましたが、用地交渉が難航していることから、川西側からも事業着手するよう要望し現在にいたっています。平成25年度川西バイパスには、このたびの経済対策(補正)において1億8000万円が配分され、平成二十五年度予算では、約5億円以上の配分が見込まれ、大きく事業が進んでいく見通しです。
3、農業の生産基盤整備について農林水産部長に今後の方針を質問(以下答弁内容抜粋)

国の農業農村整備の予算は、平成22年度に大幅削減されたところですが、本県においては、平成22年度の55億円を底に平成24年度は94億円と着実に予算を確保し、整備の促進を図ってきたところです。整備を進めてきた中で、川西町こうずく地区に代表されるような基盤整備を通じた加工用野菜の産地化の取り組み等を踏まえ、次期農林水産業元気再生戦略では、水田畑地化二期対策を着実に進め、平成二十八年度までに、3.900haの排水対策を実施すると共に、(中略)圃場の大区画化や、用排水路の地中管路化等により、担い手農家に農地を面的に集積し、経営規模拡大と生産コストの低減を目指していきます。(以下略)

川西町こうずく地区圃場整備翌年のネギ・キャベツの栽培状況。収益性の向上が課題か。

解説置賜管内では、川西町地区を中心に圃場整備事業が積極的に展開されています。現在事業中のこうずく地区、高山地区に加え、平成二十五年度からは、宮路地区が、新規事業採択を受けました。平成二十六年度以降も大塚西部地区等の事業化に向けて積極的に取り組んで行けるものと考えています。
4、農業の6次産業化について農林水産部長に質問
解説農業の6次産業化とは、1次産業である農産物の生産、2次産業である農産物加工、3次産業である農産物加工品の流通・販売を一つの経営体として行い、付加価値の創出により安定した高い所得を産み出すことです。

山形県では、市町村やJAを単位に、6次産業化ネットワークづくりを進めるとともに、やまがた6次産業化サポートセンターを核として、商品開発から製造販売まで一貫して支援する体制を整えます。

具体的には、農業、工業双方の試験研究機関の食品加工研究開発機能の整備を図り、商品開発プロジェクトを推進する取り組みに加え、販路拡大についても支援制度を設け、農林水産業を起点とした地域経済の発展と安定雇用を生み出す『食産業王国やまがた』の創造に邁進していく計画です。

県産品の販路拡大拠点として大きな期待を寄せられる東京銀座のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」。当日は、山菜加工品等の販売促進イベントが開催されていた(H24.6.2)。

5、部活動と競技スポーツの在り方について教育長に質問

中学・高校の部活動は、教育の大きな柱です。現在課題となっているのは、生徒数減少による部員不足や、専門的技術指導が可能な教員の不足、顧問教員の多忙化などであり、一昨年、文教公安常任委員会に所属していた当時から継続して、課題解決に対する取り組みの推進を働きかけてきました。

一方、それぞれの部活動は、山形県のスポーツの競技力向上や芸術文化の向上にも大きな役割を果たしています。全国的な大会等で上位入賞を目指すこともスポーツ・芸術のレベルアップ、引いては選手たちの人間形成にもつながります。質疑においては、平成29年開催の南東北3県で開催されるインターハイに対する取り組み状況を尋ねるとともに、選手の強化策や施設整備に対する積極的な取り組みを要望しました。

「競技スポーツ施設整備支援事業」

平成25年度よりスタート

平成23年度の文教公安常任委員会において、新たな山形県スポーツ推進計画の策定に合わせ、県内のスポーツ施設の整備計画に県が積極的にかかわるよう提言しました。24年度の総務常任委員会においては、来年の「やまがた樹氷国体」に向けて蔵王のジャンプ台整備等に対する県としての支援制度がないことに言及し、県内市町村の施設整備に対し支援できる仕組みづくりを提案してまいりました。

山形県では、平成25年度より「競技スポーツ施設整備支援事業」を創設し、県内に1つ程度しかない競技スポーツ施設の整備に対し、市町村負担分の3分の1を支援することになりました。25年度においては、山形市の蔵王ジャンプ台の改修整備と川西町ホッケー場の人工芝化に対し支援措置が講じられます。

待望久しかった川西町の人工芝のホッケーコート。競技力の向上に大きな期待が寄せられている。平成25年8月下旬、東北総体(団体予選)が本県を開場に開催される。

県政報告(平成23年6月28日版)

5月臨時会開催

震災関連対策補正予算などを可決

県議会議員改選後初の臨時会が、5月18日〜25日まで開催され、今後4年間の議会運営方法のほか、今年度の所属等が決定されました。

予算審議については、先に専決処分された約79億円のほか、約45億円の震災対策関連予算が可決されています。

文教公安常任委員会に所属

本年度は、しばらくぶりに教育委員会と警察本部を所管する文教公安常任委員会に所属することになりました。

教育関連では、現代に適合した教育の振興、教育・スポーツ施設の整備、教育現場の環境改善、その他の課題に取組んでまいります。

警察関連では、公約の一つである「安全安心の県づくり」に向けて、防犯体制のさらなる改善、交通安全や、防犯体制の充実のための施設整備、等の課題に重点を置いて取り組んでまいります。

また、議会選出の県監査委員に選任されました。

東日本大震災関連対策特別委員会を設置

このたびの大震災を受け、大規模災害や、それによる経済危機や放射線対策などに、スピーディーかつタイムリーに対処するために、標記の特別委員会を設置しました。

去る6月14日〜16日被災地である南相馬市の桜井市長や避難者の受け入れ先である山形市長並びに原田川西町長を招き、避難者の受け入れ状況等について聴き取り調査を行ったほか、今後の対策について質疑が行われました。

「議会改革検討委員会」を設置

昨年度、議会運営の改善に向けて検討を行ってきた「議会課題検討委員会」を改称するとともに実際に議会運営を改革するために、標記の委員会が設置されました。

山形県議会は、私が議員になる以前からの議会運営形態を長年にわたって踏襲してきました。私は、「強い議会を作る」為には、議会改革の必要性を痛感し、3期目に入った平成19年当時から、抜本的改革を提言してきました。その根幹は、議案審議の徹底を期するため、議会の審議過程を改定することでした。

昨年度、私を含む6人の委員が、1年間10回以上にわたって検討を重ね、改革案をまとめました。改選後、24年度からの改革の実行に向けて、現在詰めの協議が行われています。

6月定例会開催

東日本大震災関連補正予算

6月22日から7月8日までの日程で平成23年度最初の6月定例会が開催されました。

6月定例会においては、東日本大震災に関連する補正予算が、6億2千万円、融雪被害等に伴う復旧・防止対策に関連するものが4億4千3百万円、震災に伴う景気・雇用情勢の悪化に対応した就労支援対策に2億3千6百万円、その他に3億8千5百万円など合計約16億8千4百億円の補正予算が上程されました。

これからの課題にどう取り組むか

県議選にて掲げた課題

私は、このたびの県議選において、七つの課題を掲げ、皆様のご支持をいただきました。それらの項目に流れる私の理念を述べさせていただきます。

私の政治理念を言葉に表せば、「調和と持続的向上」です。

調和とは、自然界のバランス、人々の宥和、人と自然の融和などで表現できますが、一文字で表せば「和」です。「持続的向上」とは、調和を図ることにより、自然界また人間社会においても永続的継承が為されていきます。このことを前提として、時の流れの中で、全てが向上していくことができる。このようなあり方が理想であると考えています。

このような考え方を、現実の社会、とりわけ私が、皆様から負託を受けている県政においては、その理念を具現化するということは、具体的施策として実行に移すということです。

マニフェストの実現に向けて

以下の項目は、選挙公報に掲げた私の所謂「マニフェスト」を補足し十項目に整理したものです。具体的課題・政策・施策について、ご意見をいただければ幸いです。

(1)安全・安心・たすけあいの県づくり現在県内の多くの地域において、民間で自主的な見守り組織や防犯組織が形成され大きな役割を果たしていただいております。中には、NPOとして活動して活動している団体もあります。また、自主防災組織の組織率も年々向上してまいりました。このような自主的活動に対して県としての支援を充実していきながら、行政と民間の連携を強固なものにしてまいります。
(2)置賜地域内「30分ネットワーク」の構築国道287号は、長井南バイパスと、米沢北バイパスで事業が進められております。また、川西バイパスも事業が開始されようとしております。国道113号は、高畠〜南陽間の赤湯バイパスが供用され、以西の梨郷道路の事業が着手されました。どちらも川西地区に事業が伸びてまいりました。国からの予算の確保が前提となりますが、地域の受け入れ態勢を整え、円滑な事業の進捗に努力いたします。
(3)中心市街地の活性化今年一月、中心市街地の活性化に向けたフォーラムを開催いたしました。川西町内には、小松駅前を中心に活性化を図ろうとする動きも出てまいりました。これからの地域活性化は、民活中心でなければ実現しません。それらの支援、推進を図ってまいります。
(4)地域産業の振興置賜地区には、山形大学工学部という全国でも指折りの産業技術の研究機関があります。有機ELをはじめとする先端技術の研究体制が年々充実されてきております。県として研究体制に強力な支援を行うよう提言し、新産業の振興を「産・学・官・金」連携のもとに図ってまいります。
(5)農業を基軸とした地域の再構築これからの地域農業は、専業として先端を行く農家群を中心にしていくことが不可欠であると同時に、多様な集落営農、共同利用、環境の維持組織などの相互に支え合う生産体制を構築することが望まれます。それらの体制構築に努めるとともに、所得の確保できる作物の導入、経営形態の確立を推進し、将来に夢のある農業地域づくりを推進します。
(6)教育環境の重点整備産業技術立国の継続発展を図るには、理科学教育の充実が不可欠です。少年期には、自己を厳しく鍛えていくことが重要なことから、有為な人材を育てる教育の推進に努力いたします。義務教育の中のスポーツは、極めて重要です。少子化に伴い、時代に即したスポーツの振興策が求められており、民間のクラブ等による健全育成など子供たちが未来に夢を持てる教育環境を整えます。
(7)子育て環境の重点整備少子化傾向の解消策として、子育てしやすい環境整備が極めて重要です。乳幼児医療・通常保育、特別保育等の制度と施設の整備を徹底して推進します。
(8)格差社会の是正正採用と臨時雇用の格差是正、地域間格差の是正、産業間の格差是正、など、日本の社会はあらゆる格差を是正し、公平な社会づくりを進めることが求められており、その為の制度の改正等を求めてまいります。
(9)新しい公共の推進行政を補完し、さらに公共のサービスを充実させるため等のNPOの設立を推進し、時代に即した社会システムを整備し、新しい雇用機会を創り出し、地域雇用の確保を図ります。
(10)エネルギー・環境政策の転換生物が健康的な生活を維持していくためには、地球環境を破壊する危険性を孕む科学技術は、排除していくべきであるということが、このたびの原発事故によって、我々ははっきりと認識した訳です。自然を美しく保全する政策を強力に推進するとともに、環境にやさしい自然エネルギーの活用とその為の産業振興を強く推進していきます。

県政報告(平成23年2月21日版)

山形県政の課題について

現在、われわれの社会は、かつて無いほどの転変から、各分野において混乱をきたしており、立て直さなければならない事案が目白押しです。しかも、今、立て直さなければ将来に禍根を残すだろうと思われるものがほとんどです。その多くは、国政の動向によるものですが、この状況を受け止めて、地方の政治は何を為すべきかがあらためて問われている訳です。

総務常任委員会は、総務部長以下執行部説明者50名余りの最大の委員会。

組織の改編により、戦略調整室や私学等を所管する学事文書課、交通政策を所管する地域交通政策課が移管され、多彩な議論が展開されている。中央が舩山総務常任委員長

国政でも地方政治においても、政策の評価基準は、大きくいって二つだと考えています。一つは、実際に効果が現れるかどうか。もう一つは、その政策が持続可能なものかどうか、つまり、財政支出による一時的効果にとどまるものなのか、継続性を保てるものなのかということです。

このような観点に立ち、県による政策、施策、事業のチェックを行うとともに、有効な政策を提案していくのが私たち議員の仕事です。

立て直すのは、まず産業経済そして継続的雇用機会を創り出す

ものづくりへの支援

山形県においては、「ものづくり」即ち製造業が大きなウェイトを占めております。

故に、製造業の浮沈が県内経済に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。この業種は、輸出に依存する割合が大きいことから、海外との競争、為替の変動、需要の有無が、長期的、短期的、いずれにせよ強く影響を受けます。

これに対し、県として支援できることは、新製品開発や技術的向上に向けての研究支援などです。特に、いわゆる先端産業や、地場産業に対して支援を行ってきました。最も力を入れてきた有機EL照明の実用化にも目処がついてきました。

今年から新設された部署である「戦略調整室」においては、自動車産業関連の県内企業の振興発展を図るべくあらゆる角度から取組みが進められております。先の十二月定例会においては、私が委員長を務める総務常任委員会において、この件について活発な議論が為されました。

東北においては、自動車の製造工場は、宮城県や岩手県など太平洋側のいわゆる表日本に集中しています。県内においては、自動車部品の製造、供給などの補完的事業に活路を見出しております。

今後の事業拡大に精力的に取り組みます。

水田農業の本格的転換に活路を見出す

山形県を象徴する言葉に、「農業県やまがた」或いは「果樹王国やまがた」があります。果樹は、作況の変化や相場など毎年変化するものの、農政の変化に比較的左右されず、各農家の努力により発展を続けていると言えます。

一方、稲作など水田農業については、水田転作が始まってから、すでに三十数年が経過しています。これまで良質米生産地帯は、良質米を多収穫できる極めて優れた水田を広く抱えていることから、農家の心情としては、「本格的な転作に取組むよりは、また自由に米を作れる日を待っている」という意識が強かったと思います。

山形県の農業産出額は、最も高い時期には、3000億円を超えていたものの、主に米価の低落により、最近では、2000億円を割り込むところまで来ていました。現在、山形県では、「農林水産業元気再生戦略」を掲げ、3000億円の農林水産業を起点とした産出額の創出を目指し、鋭意取り組んでおります。そのカギは、水田を転換し、収益性の高い作物を栽培し、所得を如何に向上させるかに掛っています。

米価の低迷に歯止めがかからず、産出額は伸び悩んでおりますが、3000億円にこだわらなくても、農家の所得が向上し、後継者が育っていけば、農業の元気は再生されたと言って良いと思います。

農業元気再生プロジェクト

農林水産部は、産出額3000億円の実現に向け、29のプロジェクトを立ち上げ、農林水産業全般にわたり、詳細な振興計画を練り上げました。県としての支援、指導と、現場の生産者、流通販売関係者が相互に連携を密にして取り組んでいく体制づくりが今後の早急な課題であります。

これらのプロジェクトの中でも有望視されるのが、水田を活用した部門の中では、加工野菜生産拡大プロジェクトです。

生産技術課、流通販売関係者の話を総合すれば、国内の安全な野菜に消費者の指向が戻りつつあります。加工業者の場合も同様で、国内の安全性を重視した栽培法により生産され、しかも流通経費の少ない近場の作物を欲しがっているということです。中でも重量野菜に需要が高まっていることから、これらの生産を増やしていくことが得策であろうと思われます。

今後、各機関の連携を図りながら、手取りの確かな生産及び経営モデルを構築してまいりたいと思っています。

地域所得向上に向けて

さしあたり、二つの立て直す分野について例示いたしましたが、地域所得向上に向けて、あらゆる分野において、可能な限りあらゆる方策を駆使して地域所得の向上を図る施策を講ずるよう働きかけております。

このような取り組みの先には、当然雇用機会の拡大が生じますので、それらを継続性のあるものとして確立できるよう努めてまいります。特に、農業分野での雇用創出が実現すれば、地域経済の立て直しに大きな効果が生まれることになります。

山形県の雇用対策事業

山形県は、この3年間、国の雇用対策に呼応し、基金を造成し、それをもとに雇用対策を積極的に実施してきました。政策の評価としては、継続的雇用につながっていないという評価があるものの、短期的ではあれ、1万人プラン、2万人プランと着実に雇用の創出を行ってきたことは、評価に値するでしょう。

これらの雇用対策には、多様なメニューが用意されていますので、それらを有効に活用して、雇用機会を生み出し、同時に地域の課題の解決につなげることが重要です。

このような観点から、川西町社会福祉協議会が事業主体となり、川西町建設組合が協力する形の連携事業を提案し、実施に移されました。この件については、予算特別委員会において、雇用対策について質した事案を現実に活かしたものです。

まだまだ遅れている社会資本の整備に全力を傾ける

政権交代前を含め、当時の経済対策により、平成二十一年度は、管内において懸案であった整備の必要な箇所について、進捗を図ることができました。

平成二十二年度は、国の公共事業が大幅に削減されたことにより、県の投資的経費もそれに準じて削減されておりましたが、十二月定例会の補正予算成立により、公共事業費が146億円増額されました。これにより、道路、都市計画、河川、砂防港湾、耕地、林務、畜産、漁港、漁場などの事業の推進が図られます。

国道287号西大塚地内の防雪柵。国道287号長井南バイパスは、平成22年度で川西地内分が完成した。この防雪柵は最後の工事。以南の押川〜中小松までは、現在平成24年度の事業化に向けて調査中。

西大塚蔵久地区の懸案であった最上川左岸の堤防築堤が完成をみる。地域住民の悲願でもあった。

平成二十二年中の議会活動から

平成二十二年度は、予算及び決算特別委員会で三回質疑に立ちました。

地域の振興・発展を第一義とするという私の信条から 道路等の社会資本の整備、農業振興策、雇用対策、教育政策、子育て対策、医療介護、中心市街地の振興策、環境保護、研究機関の在り方など、執行部に対し建設的な指摘・提言を行いました。これからも、議員としての在り方を肝に銘じ邁進してまいります。

特別委員会で三度の質疑を行う。地元から毎回傍聴の方がお見えになる。

これからも、議員としての在り方を肝に銘じ邁進してまいります。

※六月定例会予算特別委員会質問要旨(六月二十一日)

(1)平成22年度県土整備部予算と今後の予算確保見込みについて

  • 本県の道路整備等に対する影響について
  • 景気雇用に対する影響について
  • 今後の予算確保に向けた県の対応策について

(2)本県農林水産業の在り方と施策展開について

  • 農業経営体の所得に着目した施策展開について
  • 多様な就農形態に対応した県の支援について
  • コントラクター組織の形成と支援策について

(3)雇用対策の成果と今後の施策の内容について

  • 過去2年間の雇用対策の政策評価について
  • この度の雇用対策の特徴と目指す成果について

(4)山形県のスポーツ振興と施設整備について

  • スポーツ振興計画における取り組みについて
  • 大規模な施設改修の必要性と、それに対する県の支援について

(5)学校統合と廃校舎の活用について

  • 学校統合の現状と今後の見通しについて
  • 廃校舎が増加することについての県の捉え方と有効活用の方策について
決算特別委員会総括質疑要旨(十月二十九日)

(1)平成21年度決算の特徴について

  • 過去10年間の歳入歳出状況との比較における平成21年度決算の主な特徴について

(2)子育て支援に向けた取り組みについて

  • 知事直属のこども政策室の成果と改善を要する点について

(3)介護保険について

  • 介護保険に対する県の財政負担の状況(決算額)について
  • 今後の介護保険制度と県のかかわりについて

(4)高齢者に係る医療保険について

  • 後期高齢者医療制度に対する県の財政負担の状況(決算額)について
  • 今後の医療保険制度における財政運営(都道府県単位制)の見通しについて

(5)今後の扶助費(民生費等)の増嵩について

  • 社会構造上年々増えていく扶助費の今後の見通しについて

(6)県行財政の展望と今後の歳入確保策について

  • 歳入確保の充実強化策について

(7)研究機関の事業成果と今後の充実策について

  • 新技術の開発、或いは新品種の開発等、産業振興に果たす工業技術センター、農業総合研究センターの成果と研究費の確保について

(8)地域振興と県政運営について

  • 平成21年度決算と今後の地域振興策と県政運営の方向についての知事の所見について
十二月定例会予算特別委員会質問要旨(十二月十五日)

(1)農業の現状を打開する施策展開について

  • 農家経営維持のための資金対策について
  • 水田農業の再構築について
    • 稲作から転換する作物について
    • 栽培から販売までのモデル構築と所得確保について
    • 水田畑地化による栽培環境の改善について

(2)中心市街地の振興策について

  • これからの中心市街地振興の方向性について
  • 拠点施設整備に向けた支援策について

(3)道路、河川整備の見通しについて

  • これからの建設・土木予算と事業見通しについて
  • きめ細かな安全対策について

(4)地域振興と教育環境整備について

  • 少子社会における地域振興から見た教育環境整備について
  • スポーツの振興と施設整備について